健康な土のお話

土壌診断のpH(ペーハー)って?健康な土を見極めよう

土壌分析などで見かけるpH(ペーハー)。

どのくらいが良いの?って考えたことはありませんか?

元気な土のpH(ペーハー)ってどのくらい?

豊かな実りを生み出してくれる元気な土

昔から地価の高い土地は『土一升・金一升』と言われていましたが、土についても同じようにこのことわざが使われます。そのくらい農家にとって、たくさんの美味しい作物をもたらしてくれる土は大切なものです。

でも、健康な土とはどんな土なのでしょう?

健康な土=肥えた土と言いますね。

肥えた土と言うと、肥料成分がたっぷりあるという印象ですが、現代の慣行栽培では土の肥料成分は高度化された化成肥料で補うこともできます。肥えた土とは、全体のバランスが取れている土、体力や持久力のある土、と言った方が良いかも知れません。

バランスの良い健康な土の作り方なると、なかなか一朝一夕ではできないのが現実です。真に健康な土を作るには、自然のチカラを借りて最低でも3年から5年の期間を見なければなりません。その間、化学性、物理性を土壌分析等によって把握しながらじっくりと見守っていくことが大切です。

今回は元気な土を維持するために必要な土壌診断において、代表的な指標となるpHについて書きます。

土のpH(ペーハー)とは

pHは土が酸性かアルカリ性かの程度を表す指標で、人で例えるならば体温と言えるでしょう。

土の養分吸収や微生物の活動に影響し、作物の生育を左右するので、土壌診断をする場合の基本項目となります。

pHと作物との関係は?

多くの作物は6.0~6.5の弱酸性で生育が良いとされていますが、作物の種類によってかなりの違いがあります。ホウレンソウは6.5~7.0の中性域で、ブルーベリー等は5.0程度の酸性域で生育が良いと言われています。このように作物によって適したpHに違いがあることに注意が必要です。

土中の養分はpHによって溶け出し方が違うので、作物の欠乏症や過剰症の危険性が高まります。

例えば、pH がアルカリ性になるとマンガン、ホウ素などが吸収されにくくなり欠乏症が発生したり、酸性が強くなると作物に有害なアルミニウムなどが溶け出て生育に障害を与えるといったことが発生します。

又、pH は病原菌の活動にも大きな影響を与えます。 アブラナ科作物で大きな問題となる根こぶ病は酸性域で多発し、ジャガイモで大きな問題となるそうか病はアルカリ域で発病が激しくなります。

 

pHの影響で作物が悪くなったら、どうすれば良いの?

ここで大切なのは、作物がどの程度のpHまで対応できるかを知ることです。

全記述で、ホウレンソウの適正pHは6.0~7.0と言いましたが、弊社のお客様であるホウレンソウ・コマツナ生産者の方は7.3~7.5前後で管理されています。pHを7.0以下に調整すると病害が発生することを経験されたからでした。これは土質(地域性)、潅水量(水質)、収穫量(年8回転)などの環境、生産手法の要因もあります。たとえ一般的ではなくてもその土地の、その作物の最適(一番生産性の上がる)pHを見つけて生産性を上げていることが重要なのです。人も個人によって36℃の人もいれば37℃に近い人もいます。土壌も同じではないでしょうか。

簡易のpHメーターはホームセンターなどでも販売しています。その都度計測をしながらご自身の圃場pHを確認してみてください

水溶性肥料(特に硫酸系や硝酸系など)を多用していた場合は酸性に振れやすいと思います。酸性だから、土壌消毒を兼ねて石灰を必要以上に施用するとアルカリ性になってしまいます。年に一度は専門機関(弊社でも可能です)で土壌診断をして、より詳細なデータとして生産現場に反映させていくと良いですね。

土壌分析の結果pHが低い場合、それを向上させるには炭カル、苦土石灰等を。高い場合には、ピートモス、硫黄華等、なるべく化学的な処理をしていないものを施用すると良いでしょう。

有機栽培や特別栽培の場合は特に、有機JAS認定を取得した資材を使うと安心です。

さらに、有機JAS資材評価協議会の登録品の場合は事務手続きも簡単です。

参考資料:(一財)日本土壌協会「有機農業の基礎知識」P19

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