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ブドウの着色不良を有機で改善

ブドウの着色不良を有機で改善

日本では生食用がメインのブドウ

ぶどうの着色不良改善

古代エジプトの壁画にも登場する最も古くから栽培されているブドウ。乾燥した地域でも栽培できて美味しいワインの原料となるためヨーロッパを中心に広がりました。

日本に伝わったのは奈良時代だとされていますが、日本のように雨の多い気候は本来ぶどうの栽培に向かず、失敗が繰り返されましたが、研究者や生産者が品種改良や栽培方法の改良に取り組み、日本の気候に適し、耐病性を兼ね備えた高品質な品種を次々に誕生させています。

ぶどうの着色不良改善

現在、世界で生産されるぶどうの7割はワインの原料用ですが、日本ではそのまま食べる生食用が9割を占めることになりました。

生食用として世界でもトップクラスの高品質ブドウを生産する日本ですが、近年大きな問題となっているのが、温暖化の影響などによるブドウの着色不良です。

 

ブドウの着色不良の原因は?

ぶどうの着色不良改善
ブドウ「巨峰」の着色の様子(左:着色不良、右:正常な着色)
出典:農研機構

ブドウの果実は、未熟な間はクロロフィル(葉緑素)による緑色ですが、成熟するにつれてクロロフィルが分解されて緑色が薄れていくとともに、アントシアニン(果皮を黒くする色素)が生成されて着色します。この果実の着色には、光、温度などの環境条件や、樹体の栄養条件が影響しています。

着色不良となる原因には主に次のようなものがあります。

1. 日照不足

着色不良の大きな要因としては、まず日照不足があります。

天候不順や、過剰な繁茂により日陰が増えて日光が当たりにくくなると、アントシアニンの生成に大切な光合成によるエネルギー(糖)が不十分になって着色不良が発生します。

2. 夜間の高温

夜間の高温下では樹体が呼吸にエネルギーを多く消費することとなり、ブドウの果皮を黒くする色素アントシアニンの合成が阻害されて色づきが悪くなります。

高温が原因の着色不良は食味には大きな影響はありませんが、他の原因でも着色不良が発生するため、こうした食味の悪いものと区別しにくいことも市場評価を下げる要因となっています。近年の地球規模での温暖化に対しては大きく危機感が広がっています。

3. 窒素過多

樹体の栄養として窒素が多すぎる場合、栄養成長が促進されて枝葉の伸長などに養分が消費され、果実への供給が減少します。また、栄養成長が強すぎるとクロロフィルの分解が遅れて、成熟期まで緑色が残りくすんだ色調となります。

4. 着果過多

果樹の着果量が多すぎる場合、一つ一つの果実への糖の蓄積が少なくなることで、低糖度の果実となりやすいので、適正な着果量での栽培が大切です。

 

着色不良に対する対策とは?

  1. 夕方に潅水作業を行って夜間の気温上昇を抑える。
  2. 剪定などで日当たりを良くして光合成を促す
  3. 1本の樹木の着果量を減らす
  4. 環状剥皮処理を行う

などが一般的に行われます。

ぶどうの着色不良改善

4の環状剝皮(幹や枝の皮部分を剥ぎ、転流する養分を房に集めて着色促進させる方法)については、樹体の健康状態によって衰弱や枯れるリスクがあります。また養分転流が行われないことによる翌年への影響が懸念されます。

漢方生薬(有機)で改善する

ブドウの品質向上のために最も大切なことは、とてもシンプルです。
それはブドウの樹を健康に導くこと。必要なのは、土づくりと根づくり。

アルム農材は、植物成長調整剤として漢方で唯一農水省農薬登録を取得した、植物成長効果を認められた資材です。抜群の根張りで光合成などの生命活動を活性化させ、植物体として健康優良児へと導きます。

アルム農材の施用法

1. 収穫後

収穫後のお礼肥と一緒に、「アルム顆粒(漢方生薬発酵液を珪藻土に含浸させた資材)」を施します。これによって雨や潅水のたびに発酵生薬成分がじわじわと染み出していき、その年後半の根づくりを行い、来年への養分蓄積が進みます。

2.翌年春

翌年春の根が動き始める時期に、微生物土壌改良材「OKY-999(微生物土壌改良材)」を畝間や根回りなどに施します。生きた善玉微生物によって発根に適した土壌環境を作り、生殖成長を活発にさせます。

3.展葉~成熟期

新芽が出て葉が展開する時期から、果実が色づいてくる成熟期には、「アルム純」を葉面散布することで、生殖成長を促すとともに光合成が活発になり、アントシアニンなど必要な成分の生成を助けます。

 

以上の方法で、弱った樹体を回復させて質の良いブドウを生産し続けている生産者の方が多くおられます。樹そのものとその環境となる土壌を自然の力で健康に導き、色づきの良い美味しいブドウを育てましょう。

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