今が旬の作物たち

美味しいホウレンソウ作り ― 葉物野菜で気をつけたい硝酸態窒素 -

ホウレンソウの原産地はイランなどの西アジア。冷涼な気候が好きで、寒さに強く、暑さには弱い植物です。主な種類は、葉が丸くて厚く濃厚な味の西洋種と、薄い切れ葉で株元が赤く淡泊な味の在来種(東洋種)、この2つの特性を併せ持つように改良を重ねた交配種とがあります。現在、市場を独占しているのはこの交配種です。

ホウレンソウの栄養

ホウレンソウは緑黄色野菜の王様と言われるほど、野菜の中でも栄養が多いことで知られていますが、具体的な栄養成分で見てみると、主要野菜14品目に含まれる8種類のミネラルのうち、ホウレンソウに一番多く含まれているのは、そのうち何と5種類(カリウム・カルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛)もあるのです。又、ビタミンA(カロテン)、ビタミン B1、ビタミン B2 も多く含むので、ホウレンソウの栄養分は驚異的とさえ言えるのです。

根っこの赤い部分は骨を作ってくれるマンガンが豊富。柔らかくて美味しい。
しっかり洗って全部食べましょう。

ホウレンソウの健康効果とその成分

■ 貧血改善

ヘモグロビンを作る鉄分や、造血作用のある葉酸がたくさん含まれています。

■ ガン予防

βカロテンを豊富に含み、感染症の予防など免疫力を高めるとともに、細胞の酸化を防ぎ、ガン抑制作用があると言われています。

■ 動脈硬化予防

強力な抗酸化ビタミンを含み、細胞や皮膚、血管の老化を防いでくれます。

シュウ酸はゆでることでアク抜きできますし、油炒めは栄養素の吸収率が上がります。

美味しいホウレンソウの特徴と選び方

ホウレンソウの性質として、冬の寒さで凍結しないように自ら葉の水分を減らし糖分を蓄える性質があります。この生理作用を利用してつくるのが「寒締めホウレンソウ」です。甘みが強く、葉は濃厚な緑色、縮みがあって肉厚なのが特徴で、冷涼な地域では冬場、寒締めされたホウレンソウが出荷されます。

一般的にも、冬場のホウレンソウの方が美味しいと言われるのは、そんな性質ゆえですね。

美味しいほうれん草栽培方法ホウレンソウは緑色が濃すぎず、パリッと新鮮なものを選びましょう。

注意が必要な危ない成分「硝酸態窒素」

抜群の栄養価を誇るホウレンソウですが、その素晴らしさにマイナスの影響を与えるのが「えぐ味」です。その元になる硝酸態窒素やシュウ酸は、肥料の与えすぎや、天候不良による光合成不足によって、植物の栄養として消化しきれずに多く残留してしまいます。これは人体にはとても悪い影響を与えるもので、発がん性物質とも言われています。

たくさんの肥料で窒素量を多くすると、ホウレンソウの収量は増加しますが、多すぎると(25㎏/10a以上)かえって収量が減り、含まれる栄養分も低下するようになります。
残留硝酸態窒素については、化学肥料、有機肥料に関わらず、肥料を与えすぎると残留濃度が高まってしまいます。「有機野菜だから大丈夫」というわけではないので注意が必要です。葉色が濃すぎるものは残留が多い可能性が高いので、明るい緑のものを選びましょう。

※硝酸イオン基準
EU:3500mg/kg
日本食品安全基準:2000mg/kg

 

土づくりができていれば比較的育てやすいホウレンソウ。但し夏場の栽培には一工夫必要。

ホウレンソウ栽培の注意点

ホウレンソウ栽培でまず気をつけたいのは、酸性土壌が大敵だということ。
石灰や良質な完熟たい肥などで中性域に整えた良い土づくりができていれば、比較的楽に育てることができます。
(土づくりに最適な商品:「OKY-999」「Dr.放線菌」)
硝酸態窒素は収穫方法によっても変化するので、一般的な収穫と違って、朝採りよりも夕採りの方が、硝酸態窒素が少なく糖度も高くなり、美味しいホウレンソウになりますよ。

又、アルム農材は植物の自然な代謝を高めるので、硝酸態窒素の残留を抑えて、美味しくて元気なホウレンソウに育ちます。(ホウレンソウ栽培に向いている商品:「アルム顆粒」「アルム純」)
土壌診断を行って適正な肥料を与え、太陽をたっぷり浴びて健康な作物を育てることが、ホウレンソウに限らず栄養豊かでおいしい野菜づくりの基本ですね。

※参考資料:日本土壌協会

関連記事一覧