連作障害

歴史を変えた作物「じゃがいも」  - 連作障害の対処法 -

歴史を変えた作物「ジャガイモ」

 

ジャガイモはナス科ナス属の植物で、原産地はアンデス山脈の高地です。それが15〜18世紀前半までの大航海時代に広く世界へ伝わっていきました。

 

この時期は、気候的にみると小氷期(1550〜1850年)とよばれる異常な寒さの時代で、冷害による不作が続きヨーロッパの人々は食糧難に悩まされていました。実はこれが大航海に乗り出した理由でもあったのです。

 

じゃがいもは寒冷地でやせた土地でも育ち、土中にできるため鳥害もなく、生産性は小麦の3倍にもなりました。さらに保存がきくため、食料確保の救世主としてまたたく間に労働者階級の人達の主食にもなり、「米」「麦」「トウモロコシ」と共に世界4大作物の一つにもなりました。

 

日本は江戸時代初期で、東北地方がヨーロッパと同じく寒冷化で作物が採れず大飢饉になった時期でした。日本でも救荒作物(飢饉や災害、戦争に備えて備蓄、利用される代用食物)として広まったのですが、同じような作物のサツマイモが日本の暖地に広まり、ジャガイモは北海道などの寒高冷地に普及していきました。

 

歴史に影響を与えた「ジャガイモ」

こんなふうに、飢えに苦しむ人々の大変有難い作物として広がって行ったジャガイモですが、実はウイルスや細菌などの病気にかかりやすいという弱点がありました。その上、ナス科に顕著な連作障害もあったのです。

 

特にアイルランドでは、生産性の高いジャガイモのみを栽培したために疫病が蔓延して壊滅状態となり、餓死する人が100万人以上にも達したという歴史的な惨事となりました。このアイルランド飢餓では多くの人々が移住を余儀なくされ、世界に移り住んでいきました。その中でも、アメリカに渡った人々は政財界に大きな影響力を持つグループを形成し、ケネディ大統領やレーガン大統領の祖先も、この移民した人々だったのです。

こんな歴史を踏まえて、日本では病原菌に侵された種芋による蔓延を防ぐため、植物防疫法の指定種苗として種苗管理センターで健康な種芋の元となる「原原種」が生産され売買管理されています。

 

ジャガイモの連作障害

作物は多かれ少なかれ同じ土で同じ作物を作り続けると成長不良が出たり、病気にかかりやすくなったりします。その中でも特にナス科の作物は連作障害が顕著に出やすい作物です。

連作障害の原因

  1. 同じ作物を栽培することによって土壌内の養分のバランスが崩れる
  2. 栽培した作物を好む病原菌が集まりやすくなる(特定の病害虫)
  3. 土壌のpH調整で石灰資材を多用すると土がアルカリ性に傾き(pH7以上)そうか病が出やすくなる
  4. 排水不良による種芋の腐敗
  5. 青枯病菌による障害
  6. 同じナス科のナス、トマト、ピーマンなどの輪作

 

連作障害を防ぐには

  1. 土壌を太陽熱消毒、寒気当てなどをして病原菌を抑制する
  2. 安心な検査済種芋を使う
  3. 豆類、トウモロコシなどと輪作をする
  4. 線虫や病原菌を抑制する微生物を投入する。(「Dr.放線菌(ドクターホウセンキン)」)
  5. 窒素過多にしない(青枯れ病を誘発しやすくなる)ため、土壌診断を基に施肥する
  6. 逆さ植えしてストレスをかける(強くなる)
  7. 5-5-5(窒素・リン酸・カリ)位のバランスの肥料と、草木灰、ミネラル資材を合わせて土のバランスをとる
  8. 完熟たい肥と微生物土壌改良材「OKY-999(オーケーワイ スリーナイン)」を鋤き込む(たい肥200L+OKY-99910㎏/10坪)

連作障害には薬剤による対処療法ではなく、本来の土壌バランスを整えることが最も大切です。

作物の偉大な歴史に学び、人々の命を支える栽培について考え、無理なく質の高い栽培をつづけていきたいものです。

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